http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/music/main.htm
読売新聞のサイトより転載 2001/6/22-記事発表!!
オリジナルの新聞
記事はこちら(H.Moriさん提供)
ロックの雄が仁王立ち
イングヴェイ・ヨハン・マルムスティーン&新日本フィルハーモニ ー交響楽団
普段は髪を振り乱し、舞台を駆け回るロックギターの雄マルムスティーン。でもこの日は緊張気味。正装した八十人編成の新日フィルの面々を前に仁王立ちとなり、目を閉じ、全神経を集中させた指が六本の弦を自在に舞う。ある時は叙情的なハーモニーを背景に、震えた音色でギターを鳴かせ、またある時は雷鳴に似た速弾きで、分厚い管弦の響きに挑みかかる。
十五日の東京・すみだトリフォニーホール。マルムスティーン作曲の「エレクトリック・ギターとオーケストラのための協奏組曲変ホ短調『新世紀』」が披露された。九八年にCDに吹き込まれたが、ライブでは世界初演。「ロックとクラシックの融合と言うより、エレキ・ギターをソロ楽器に使った純粋なクラシック作品」と作曲者はいう。
ファン層の拡大を狙う新日フィルが企画、実演の機会を探っていたマルムスティーンが応じた。とはいえ、双方にとって慣れない共演。四日間綿密なリハーサルが繰り返された。特にアンプを通すギターの音量調整に苦労したが、「練習を重ねるうちに、ギターと管弦楽が互いに主張し合うことで、新たな音楽を創造しようという空気が盛り上がった」と指揮者の竹本泰蔵。最後の通しげいこが終わると、楽団員から拍手がわき起こった。
マルムスティーンは来月、自分のバンドで再来日。攻撃的なハードロックを聴かせる。この人には音楽の境界線は存在しないようだ。
文・西田 浩
写真・清水 敏明