目次にもどる

Guiter Tech Discussion 
機材解説
翻訳 Kuni (+yoko)  (See Original English)

ストラト-O-マスター
GUITAR PLAYER誌 1999年7月号
[機材概要 文:リサ シャーケン]

イングヴェイマルムスティーンのメインギターは大幅に改造されている。深くスキャロップ加工したメイプル指板、ダンロップ6000ジャンボフレット、フロントとリア(リッチーブラックモアと同じくマルムスティーンはセンターピックアップを使用しない)にディマジオYJMピックアップを装備した1968〜'72年製のストラトキャスターである。更にトーンコントロールは結線を外している。彼のギターには.008 - .048ゲージのフェンダースーパービュレットを高い弦高で張っており、トレモロには4,5本のスプリングを装備して、ダウン、アップ両方にアーミングできるように調整している。
彼の背後には4,5台の'70年代初期の50WマーシャルMk II ヘッドと'60年代後期のマーシャル4x12キャビネットを設置している。ライブではクライベイビーワウ、ボスのコーラスとフランジャー、コルグSDD-1000ステレオデジタルディレイを使う。彼はステージの両サイドにマーシャルスタックを置き、ステレオディレイを使って対位旋律をプレイする。

イングヴェイのライブ機材の内側
GUITAR SHOP誌 Vol. 1, No. 4, 1995年
['90年代後期のイングヴェイのギターテクニシャンであるピーター ルースがGUITAR SHOP誌に語った機材解説]

早弾きのブームは廃れてしまったかもしれないが、イングヴェイマルムスティーンが町にやってくるときはいつもライブ会場は満杯になる。最新のBach 'n' roll作品"セブンスサイン"をリリースしたスウェーデンのピッキングの超人は、彼のネオクラシカル核弾頭をひっさげて世界中、特にファンが今も熱狂的なヨーロッパとアジアをツアー中である。彼がどのようにトレードマークのシルクのような繊細なトーンを出しているのかをもっとよく知るために、とある夜のバロック公演の開演直前、ファンが"イングヴェイは神だ"と繰り返し叫んでいる中、GUITAR SHOP誌は早弾き男のバックステージ機材をばっちりと写真に納めるためにカメラマンを派遣した。ではボリューム全開のアクションの全貌をチェックしよう。おっと耳栓を忘れずに. . .

イングヴェイのアンプセッティング:ボリューム :10、 バス ミ:5〜7、ミドル : 2〜5、トレブル ミ:6〜8、プレゼンス- 4〜6

ピーター ルース:「イングヴェイのギターすべてのフロントとリアにディマジオのHS-3ピックアップを装備している。センターピックアップはフェンダーかディマジオのどちらかだ。ネックはすべてスキャロップ加工し、ジムダンロップ6000フレット(1.47mm)を取り付けている。イングヴェイはダンロップの1.5mmピックとアーニーボールの弦を使用している(注:今はフェンダービュレットに変更している)。ゲージは.008、.011、.014、.022w、.032w、.046wだ。ギブソンのフライングVでは6弦をDに下げているので(すべてのギターをEbに半音下げチューニングしているので、実際にはC#).048wを使用している。

また彼はすべてのギターにサムソンのワイヤレスシステムを使用している。ギターの電気信号はレシーバーからブラッドショーのエフェクターシステム(1984-85年頃製作)へ行く。エフェクターシステムはディレイやコーラスに使うコルグのデジタルディレイとボスのBF-2フランジャーなどのエフェクターの管理をしている。また、めったに使用しないがロックトロンのHush IIもある。クラブではこれを1台のマーシャル50W Mk IIヘッドへ送る(より大きい会場ではさらに多くのヘッドを使用する)。アンプのダイレクト(ドライ)側は4x12インチのボトム2台を8オームで鳴らし、一方"エフェクト"側はステージ右手の4x12インチのボトム1台を16オームで鳴らしている。

その夜使用するアンプとプレイするクラブ/コンサートホールの音響効果による音質の違いのため、アンプのセッティングはアンプごとに異なっている。しかし通常ボリュームは常にフルアップ(もし可能なら、11まで上げたいくらいだ)、バスは5〜7の間、ミドル2〜5、トレブル6〜8、プレゼンス4〜6だ。あと、ギブソンのチェットアトキンスモデルはボスのCS-3コンプレッサー/リミッターを通してからDIボックスへ行き、PAへ出力する。」

マルムスティーン・ザ・マグニフィセント
Guitar Buyer's Guide Magazine誌 1987-88年
[リッチー ブラックモアの元ギターテクニシャンであり、イングヴェイのトリロジー/オデッセイ のギターテクニシャンであるイアン ファーガソンがジョー ラライナに語った機材解説]

ラライナ:弊誌の1987年1月号でスウェーデンの厄介者にお会いしたとき、彼はちょうどブラッドショーの新しいエフェクターボックスを受け取ったところでした。そのとき、ギターテクニシャン イアン ファーガソンはイングヴェイの機材の詳細を我々に苦労して解説してくれました。

ファーガソン:私は彼のギターだけでなくすべての機材の取り扱いを担当している。私は彼のアンプやエフェクターすべてを彼が望むように正確にセッティングすることに努力している。彼はギグごとに気分が変わるので、私は彼と非常に密接に作業している。イングヴェイはスイッチを押すだけではない--思いっきり叩きつけるんだ。彼はフットペダルをとても激しく踏みつけるのでそれらをよく壊す。彼は激しく踏むとエフェクターがよく効くと思っているんだ。

このツアーでイングヴェイはフェンダーストラトキャスターを10本くらいとオベーションレジェンドアコースティックモデル1767を使用している。リッチー(ブラックモア)と同じく、イングヴェイはギターの見た目よりサウンドに気を使っている。時々彼は私にショーの開始前1時間を切ったところで、このギターのピックアップを他のギターへ交換してくれとか、このギターのネックを他のギターへ交換してくれとか頼んでくる。私は大概、ショーの当日になっても彼が何をしようとしているのかを知らないんだ。

彼のすべてのストラトに搭載されるピックアップの配置は基本的に同じだ。フロントとリアのピックアップはディマジオHS-3で、センターピックアップはイングヴェイの好みのサウンドでないので結線を外している。イングヴェイが開発に協力したディマジオピックアップはフェンダーのピックアップ用の溝に合うように組み立てられている。10本のうち9本のストラトにはストックのフェンダートレモロを装備していて、1本にのみフロイドローズを付けている。フェンダーのトレモロは取り扱いが簡単で、サウンドがとても良い。ブラックモアもまたフェンダーのトレモロを使うのが好きだ。リッチーとイングヴェイは最も激しくトレモロを扱う2人であるが、私はフェンダートレモロのチューニングを狂わないようにすることで問題を抱えたことがない。

私はイングヴェイのギターの弦を毎晩新しく交換する。彼はとても汗かきな上、プレイがとても攻撃的なので、ショーの終わりには弦がほとんどダメになっていてサステインを失ってしまっている。彼は現在アーニーボールのステンレス弦を使用しており、ゲージは.008、.011、.014、.022、.032、.044だ。イングヴェイはツアーでNadyの701ダイバーシティーシステムを使っている。彼はよくケーブルを鞭のように使ったり、ギターを頭の廻りで振り回していた。しかし今ではワイヤレスを使うようになり、彼の動きを制限するケーブルの使用を嫌っている。ブラックモアは全く正反対だ。彼はワイヤレスがサウンドを著しく変えると考えていたので使おうとしなかった。

イングヴェイのアンプのセッティングは会場によって異なる。大きなショーではマーシャルMk II 50Wヘッド28台とセレッションG12 25Wスピーカーを取り付けたマーシャル4x12キャビネット31台を設置する。基本的にステージ左手にキャビネット10台、右手に10台、ドラムライザーの下に3台、直面するステージの両サイドに4台を設置する。すべてのアンプを同時に使用するのでないが、それらをすべて使用する可能性がある。スプリッターボックス(アンプからここへ送られる)によって、私は与えられた時間内にいくつかのアンプを選ぶことが可能になる。私はすべてのアンプをスプリッターボックスへ繋ぎ、必要な数のスピーカーキャビネットへ送る。イングヴェイがどこに立っていても、彼のサウンドはそこにある。

イングヴェイは現在ボブ ブラッドショーが設計したエフェクターラックを使用している。このラックの中身は、コルグKMX-62 6チャンネルミキサー1台、コルグSDD 1000 デジタルディレイ2台、コルグSDD 2000 サンプリングデジタルディレイ1台、Hush II-C ノイズリダクションユニット1台、Box Octave Divider1台、Furman PL-8 ライトモジュール1台、エフェクトをかけた電気信号をステージ上のいくつかのキャビネットに戻すのに使用するマーシャル 400W パワーアンプ モデル6040 1台だ。

フロアユニットはコーラス、グラフィックイコライザー、オクターブV、ノイズゲートなどいくつかのコルグユニットからなり、すべてコルグのPME 40Xに収容されている。最終的にはこれらをすべてラックにマウントする予定だ。イングヴェイはまたムーグのタウラスシンセサイザーベースペダルを使用している。バックステージでは、イングヴェイはショーの前のウォーミングアップ用にセレッションG12 M70Wスピーカー付きのCrate G60-GTアンプを使用している。

イングヴェイのギター学
Guitar World誌 1988年6月号
[文:マット レスニコフ, オデッセイツアー直前のインタビュー]

リハーサルやフォトセッションにおいて、イングヴェイマルムスティーンはギターテクニシャンのイアン ファーガソンを信頼している。イアンはギターテクであると同時に、ベビーシッターであり、神業的なブラッドショーシステムの達人でもある。イングヴェイが所有する膨大な数のフェンダーストラトキャスターコレクションの維持や管理、再組立を完全に信頼し任されている。ファーガソンはたびたび無情に扱われた機材をメンテナンスする。彼によるとそこにはメイプルやローズウッドのスキャロップド指板とディマジオHS-3シングルコイルピックアップを装備した4,5本のユ60年代中期のモデルなどがある。「彼は自宅に100本くらいのギターを持っているんだ。」とファーギーは感慨を込めて言う。「そんなにも多くのフェンダーなんて信じられないよ。それらのビンテージストラトは次の(オデッセイ)ツアーにはおそらく持ち出さないだろうけど。そのため彼は主にフェンダーのイングヴェイマルムスティーンモデル6〜12本を使うだろう。ただ店に歩いていって1本購入し、アンプに繋ぐだけで直ちにプレイできるので彼はシグネチャーモデルを本当に愛している。それが彼の好きなやり方なんだ。

フェンダーのジョン グランダーによると、イングヴェイは自分のシグネチャーモデルを調達するための小売りルートをおそらく必要としていない。フェンダー社はマルムスティーン用に高度に規格した仕様で製作したサンプルを彼に供給している。1961年製メイプル指板キャンディーアップルレッドのストラトを元にしたものだとグランダーは言う。「イングヴェイのようにスキャロップドにした22フレットのメイプルまたはローズウッド指板のギターを我々は提供するつもりだ。ブリッジは2点支持のアメリカンスタンダードトレモロで、ノンロッキングシステムの中では明らかにベストだ。」と彼は言う。

またマルムスティーンモデルの製作にあたってイングヴェイのピックアップのチョイスも再現した。「我々はフロントとリアにディマジオのHS-3を使用している。」グランダーは続ける。「なぜならそれらは静かながら高出力だからだ。センターにはアメリカンスタンダードピックアップを装着した。彼はこのポジションを使用しないので、このピックアップはボディーと面一に下げている。」

フレット間がえぐられたスキャロップド指板は弦がたわんで音が外れる傾向にあるにもかかわらず、イングヴェイはとても細い弦を使用している。「俺は.008'のセットを使っている。」イングヴェイは説明する。「しかしボトムのE弦は.046だ。俺のギターをプレイするとたいていみんなピッチを外すが、俺はそれを防止できるようだ。俺はその細さは必要ないが、ツアーではたくさんプレイするし本当に激しいチョーキングをたくさんする。ときどきハイC# (E弦、9フレット)から F# (14フレット)までのようなチョーキングをする。俺は実際、同じことをたまに使う.010の弦でもできるが、ちょっとの間弾いていても、汗をかいた状態で激しい最大振幅のチョーキングをやりつづけると、指がタコになって死にそうになるんだ。」

イングヴェイはオデッセイのアコースティック部分を、カッタウェイとビルトインAlvarezピックアップシステムが特徴であるAlvarez-Yairi DY-92 リュートバック スチール弦とCY-127CE ナイロン弦 シンライン クラシックギターでレコーディングした。またイングヴェイはボブ ブラッドショーによって製作された特注のエフェクトスイッチングシステムを信頼している。彼はそのシステムをソロをプレイするとき長いスイープの繰り返しにきらびやかさと奥行きを加える創作の実験をしている。「あれはすごいよ。」彼は言う。「あれ無しに長い間やってきたことが信じられない。とても静かで、少しのノイズもない。俺はあれが大好きだ。」

イングヴェイのギター学1986
Guitar World誌 1986年1月号

[インタビュー:ジョー ラライナ]

イングヴェイ:俺は大体40本のギターを持っていて、ほとんどがフェンダーのストラトキャスターだ。俺は気に入ったものは何でもいっぱい持ってしまうんだよ。俺は12の頃からずっとストラトをプレイしている。ストラトは俺が今まで弾いてきたギターの中で最高のサウンドが出るギターだし、かっこいい。ストラトは完璧なシェイプの女性のようだ。ストラトよりいいものは他にはない。

俺の気に入っているストラトは6月にデンバーでプレイしたときに壊れてしまった。ライジングフォースのジャケットに写っているクリーム色のやつだ。俺はギターを空中に放り投げ、落ちてくるときにステージのライトで突然見失ってしまった。俺はうまくギターを受け止めようとしたが、手から滑り落ちて床にたたきつけられた。ボディーは3つに壊れネックがとれた。本当にがっかりしたよ。幸運にもネックはそんなにダメージがなかったので、'68年製のサンバ−ストのボディーに取り付けた。

今のところ、俺のお気に入りのギターはスキャロップドメイプルネックで'54年製のピックガードが付いたベイビーブルーの'56年製ストラトだ。フロントとリアにディマジオHS-3ピックアップ、センターにはフェンダー'61年製ピックアップを付けている。ステージではこのギターと最近ロサンジェルスで手に入れたクリーム色の'61年製ストラトを交互に使っている。俺はそいつに一目惚れしたんだ。俺のストラト3本と交換した。このストラトにはミントグリーンのピックガード、スキャロップドローズウッドネック、ベビーブルーストラトと同じ配置のピックアップが付いている。両方のギターともストックのフェンダートレモロが付いている。

他のギターの何本かにはフロイドローズトレモロが付いているが、俺はフェンダートレモロの方が気に入っている。弦が本当に伸びきってしまってもフェンダートレモロ付きのギターはチューニングが狂わない。俺は最近シェクターのギターを使い始めた。シェクターはフェンダーを除けば俺が広告出演している唯一のギター会社だ。シェクターは2本の特別なイングヴェイマルムスティーンモデルをちょうど作り上げたところだ。そのうちの1つはスキャロップドの22フレットメイプルネック、左利き用のヘッド、ディマジオHS-3ピックアップ3基を搭載した美しいバーガンジーミストメタリックフィニッシュ仕上げだ。

俺のディマジオピックアップはすべて改造してある。このピックアップのサウンドは古いフェンダーピックアップにそっくりなのにハムノイズがない。俺はプレイしているときにひどいノイズを聴きたくない。できるだけクリーンなサウンドにしたいんだ。俺はダブルコイルのピックアップの音は好きじゃない。ダブルコイルのピックアップでは自分の独特なサウンドを出すのが難しい。そのうえ、言わばダブルコイルはシングルコイルよりピックアップ帯域が広いので、音が良く通らない。俺が好きじゃない割れたような音色になるんだ。

俺はアーニーボールのステンレス弦とフェンダーのエクストラヘビーピックを使っている。俺はたいてい深いスキャロップドネックのストラトに.010セットの弦を使っている。ツアー中、ギターの弦は毎晩新品に張り替える。

あいにくと、俺はアメリカへ来たときから使っている同じマーシャルアンプを今でも使っているよ。数年前スウェーデンで買ったものだ。そのマーシャルは俺が試してみた他の新しいモデルよりもずっと力強い音がする。新しいマーシャルに俺のストラトを繋ぐとひどく痩せた音がした。新しいマーシャルは古いマーシャルのように2組のプリアンプを持たない. . .ベースチャンネルが取り去られている。古いものの方がいいサウンドが得られる。コードをかき鳴らしたときにすべての音が聞き取れるが、それでもとてもかん高く攻撃的なサウンドがする。俺が本当に好きな1つのものがあるなら、それは俺のサウンドだ。 以上

目次にもどる

This page copy right belongs to Malmsteen International Fan club.