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Bossのサイトに掲載されているYngwieのインタビュー
BUG on Line Vol.8
翻訳 PlayLoud

original
http://www.bossus.com/bugonline/features.asp?art=malmsteen

2004/10/24

Yngwie Malmsteen 〜マスター・オブ・メタル、速弾きの皇帝、ネオ・クラシカルの王者〜

「アタックは続く」
スウェーデン出身のYngwie J. Malmsteenは'80年代初頭、L.Aのギターシーンに彗星の如く現れた。
噂はあっと言う間に広がり、瞬く間にヴァーチュオーゾは「King Of Shred」の冠を戴くこととなった。
Yngwieはカリフォルニアのバンド、Steeler、Alcatrazzを経、やがて脅威のアルバムRising Force、
Marching Outを産み出すべくソロキャリアを歩み出す。ギタープレイヤーにとってはEdward Van Halen
以来のショックだった。Yngwieは、自らが歩んだ道を横切ったギタープレイヤーをインスパイアするか、
落ち込ませるかしてしまったようだ。

今尚Yngwieはギタリストに畏敬の念を抱かせ続ける。彼のトレードマークであるネオ・クラシカルな
ギタースタイルは、光速でのハーモニック・マイナー、エオリアン、フリジアン・スケール、
メロディアスなシーケンスフレーズ、爆発的かつ流麗なアルペジオ、そして簡単なペダル・トーンから成る。
BUGはマイアミのMalmsteen宅へと飛び、彼の自宅スタジオで直撃インタビューを行った。

Boss: 今年は大変な忙しさですね。Steve Vai、Joe SatrianiとのG3ツアーを丁度終え、Epic Sonyから
新譜"Attack!!"を発表しました。ツアーを大成功で終え、自宅に戻って自分のスタジオでのレコーディング
というのは幸せなことですよね?

Yngwie: そう、Baroque & Rollスタジオにね。有難う。俺は本当に、それはもう幸せだよ。突き詰めて
言えば、30年前にギターを手に取って、Ritchie Blackmoreみたいになりたかったんだ。君は「大変な
忙しさ」と言うけど、本当にいい時間を過ごしているよ。曲を書き、詩を書き、レコーディングして、
ツアーしてさ。

B: あなたの名を広めることになった全てのもの、つまり速弾き、ペダルトーン、ファンタスティックな
スケールとアルペジオ、に加えて、ヴィブラートも完璧です。一音を鳴らし続ける力、クラプトンや
B.Bキングのような...。

Y: 俺はクラプトンとB.Bキングの大ファンなんだよ。B.Bキングは今までいた中でも最も偉大なギター
プレイヤーの一人だと思うね。なぜなら、彼は十万のMalmsteenの音に匹敵する一音を作れるんだぜ?
こういうことを言えるのは嬉しいね。
俺はずっとずっとテクニックと関わらされてきた。しかしね、テクニックと言うのは速く弾くばかりでも
ない。一音に重きを置く時もそうさ、分かるだろ? 5弦か6弦の速いアルペジオからその後の長い一音を
引っ張って行こうとするような時さ。 そして、知っての通り、俺は決してトレモロ・バーに頼ることはない。
ほとんど使わないんだ。付いてはいるが、フィンガー・ヴィブラートの方が好きだよ。

B: スキャロップ・フィンガーボードも役に立っていますか?

Y: スキャッロップ・フィンガーボードはある一つの目的にしか帰依しない。それはスローなフレーズに
なった時に、左手のコントロールが、より自由に効くということだ。速弾きしたい時には、実際にずっと
難しくなるけどね。あと、俺はギターでかなり激しいアクションをするだろ? じっとしてるのは
嫌なんだ。SteveとJoe、彼らは大好きだし、グレイトだ。彼らのギターも弾かせてもらったし、Brian May、
俺のもう一人のヒーローだが、のギターを弾かせてもらったこともある。しかし、彼らはいっぱいまで
弦高を下げているんだ。そうすれば弾くのは簡単になるけど、弦っていうのは揺れる必要があるんだから、
どこかバランスが悪くなるんだ。ピアノの音を聴けば分かるけど、ピアノには音の揺れを損なうものは
どこにもない。下にフレットボードがないからね。ヴァイオリンやチェロでは、弓を持ち続ける限りに
おいて一音を延ばすことが出来る。ギターの場合は、弦高を高くすることだ。特に、さらにネックを
スキャッロップした場合は、弾き辛くはなるけどね。とっても難しく、さ。

B: Bossは今年、記念すべき80万番目のペダルを売り上げました。あなたにとって最初のBossのペダルの
思い出は?

Y: それは多分1977年か78年、多分その辺の話になる。俺はRolandのアナログエコーDC10を手に入れた。
今も持っているけどね。で、こんな音(エコーの音を真似る)を手に入れたんだ。そして、Bossのペダルに
関して言えば、1993年の、Hushノイズ・ゲート・ラックマウント(Rocktron社製)を使っていた時のことが
忘れられないな。申し訳ないけど、嫌いだったよ。でも、もしそれがなかったら、本当にノイジーな音に
なっていたんだろうけど。ある日、俺はサウンドチェックに行ったんだけど、ギター・テクは俺に何も
言わないんだ。しかし、明かにそれ(hush)はもう動いてなかった。壊れていたんだ。俺は全然知らなかった。
サウンドチェックに行ったら、マーシャルは今までにない位シーンとしてるじゃないか! 全く静かにね!
奴(ギター・テク)の仕業だったんだ。彼は近所の店に行って、俺に何も言わずBossのNS-2をラックに
組み込んだんだ。「なんてこったい! 信じられない! 」ってなっちゃったよ。こんなこと、信じられるかい?
ま、実際には最初のBossのペダルはオクターヴ・ペダルOC-2だけどね。

B: 何でそれを買おうと思ったんですか?

Y: Mutronが欲しかったんだけどお金がなくて、で、Bossのオクターヴァーを買ったんだ。その低い、
とんでもない音が好きだからね。22年経った今でも使ってるよ。始めからRolandとBossはずっと
使ってるけど、最初に買ったBoss製品はOC-2だよ。

B: BossのNS-2が相当気に入られたようですね。

Y: 9ボルトバッテリーの入ったこの小さくて白い箱にかかると、この2,000ドルするやつ(マーシャルアンプ)
が黙ってしまうのが分かって、全く大いに驚いたよ。で、それによって大きな違いが生まれた。サウンドに
関して、実際、俺は決して「エフェクター繋ぎまくり」じゃない。そう言えたら良かったのかもしれない
けど、でも、俺はもっと音色、音そのものに気を使ってきたんだ。でも、ノイズが無くなるっていうのは、
言うなれば新鮮な空気を吸うような感じですごく気分がいいし、Bossのペダルを買い続けているのは
それがグレイトだからさ!

B: あなたはCS-3 コンプレッサー/サスティナーも使っていますよね。これについては?

Y: アコースティックギター、つまりオヴェーションを弾く時には使うし、ベースをレコーディングする時にも
時々使うよ。きつく圧縮をかけるのが好きなんだ。知っての通り、得られうる最もきつい圧縮はマーシャル
から自動的に送られて来るものだ。だから、 ベースやアコースティックギターやシタールを弾く時には
コンプレッサー、大概はCS-3を通して音を拾うんだ。

B: 新日本フィルとのコンチェルトには痺れました。その時もNS-2を使っていたんですよね?

Y: 勿論。NS-2を持たずに家を出たことはないよ。

B: 新譜"Attack!!"収録の'Valley Of The Kings'では、ローランドGR-33ギターシンセサイザーが使われて
います。どんな感じでGR-33を使っているんですか?

Y: 事の顛末はこうだ。12年にわたって俺はいつもキーボードプレイヤーと、ドラムプログラマーを使って
きた。ローランドR8 MKIIを使うためにね。手に負えないドラムマシンなんだ! キーボードプレイヤーと
俺はもめてしまって、俺はスタジオでぽつんと座る羽目になった。俺は"Stronghold"とか"Attack"といった、
そう言って良うことが許されるなら、良いリフ、のある曲を書いていた。しかし、何かが足りないと
感じたんだ。そこで店に行ってみた。さてどうしよう? で、ギターシンセを買ったんだ。デレク・
シェリニアンやなんかのように、面白いのを弾けるキーボードプレイヤーがいたらどんな風に聞こえるのか
やってみたくてさ。そんなわけで、一人でやってみた。 ヴォーカルや詞を考え付く時の助けになるような
ものがもっとあればいいと思ったのさ。俺は全てを書くし、全部自分でやる。で、そんな風にGR-33を
使ってるよ。

B: "Valley Of The Kings"のイントロと終わりではタブラドラムも聞こえますが。

Y: 単にローE(6弦開放)を弾いてブンブン言わせてるだけだよ。単にそれだけ。そして、その上にフルートを
重ねて入れた。でも、たくさんの曲でGR-33を使ったし、今も使っているよ。キーボードはなし、
ローランドR-8とGR-33ギターシンセサイザーだけさ。 



B: 前回我々が来た時には、新作、ローランドGR-20をお持ちしましたよね。

Y: 俺が夢中になってしまったのがあるんだ。ソロ・ヴァイオリンさ。自分のものにするのが待ちきれないよ。

B: 今週、Boss GS-10のパッチを作っているんです。GS-10のユーザーはBossのウェブサイトから我々の
作ったパッチをダウンロード出来るようになります。あなたのサウンドはマーシャルが元になっています
から、組み上げられたスタックアンプを使っていましたよね。これは小さいのでロードに持って行くことも
出来ます。そうするつもりはおありですか? また、理由は?

Y: ああ。ショウの前のウォームアップアンプとして使わせてもらうよ。勿論じゃないか! 絶対だよ。
これはかなりの歪みが得られる。こういうのを色々試してきたけど、これが一番じゃないかな。
気に入ってるよ。

B: あなたの音楽はクラシック音楽の伝統に根ざしながら、豊かなインプロヴィゼーションとその他数多くの
要素を含んでいます。いかにしてこうした要素のバランスを取っているのですか?

Y: ある言葉を思い付いたよ。いつか特許を取ろうかな、いや、実際にはもうなってるけど。
「インプロヴィゼーションは作曲の起源だ」さ。インプロヴァイズしなければ、新しいものは生まれない。
世界一のクラッシックの演奏家ではあるかもしれなくても、誰かが演奏したものを弾いているだけだろ?
俺は時々自分を、Wylie E. Coyote(*訳注1)と比べるんだ。崖から落っこちて、運良くつかまれるような
小枝が一本、そしてよじ登れるようになるのを待ってるのさ。俺はいつも、「無理だ」と思うことをして
いる。成功することもあるし、失敗することもある。でも、こうした危険を冒さなくてどうするんだい? 

B: そうしたお考えが、あなたをギターシンセサイザーの世界へ飛び込ませたり、新しいことに関わって
行こうとさせているのですね?

Y: コンチェルトを思い出してご覧よ。Deep Purpleは1968年に、ロックバンドのための曲をオーケストラと
演奏したし、それは凄いものだった。EL&Pも似たようなことをやっているし、Metallicaもやってる。俺の
アイデアは完全にロックンロールの世界から外へと踏み出して、クラシック音楽の世界へと踏み込んだ
ものだ。その世界において俺は曲を作り、ソロイストの一人を務めた。ロックンロールのリフも、ドラムも、
ヴォーカルも、何もなし。ただ俺、俺自身と、そしてオーケストラさ。分かっている通り、非常に挑戦に
満ちたものだったけど、それこそが俺のやりたいことだと強く思っていた。だからそうしたんだし、また
やってみようと思っている。

B: あなたは最初の頃から私たちの製品を使って下さっています。30年のサポートに感謝の意を表したいと
思います。最後に、ギタリストやファンに何かあればお願いします。

Y: BossとRolandの皆にありがとうと言いたい。まず、俺のやろうとすることを現実的に可能にしてくれる
こうした素晴らしい道具を作ってくれたこと、そしてこうして俺にとてもよくしてくれることに、心の底から
感謝しているよ。長く付き合っていきたいね。まだ始まったばかりさ。そして皆にも、どうもありがとう。

-Johnny DeMarco

(*訳注1) Wylie E. Coyote=アメリカの漫画『Loony Tunes』に登場するコヨーテ。本来の綴りは
Wile E. Coyote。鳥のRoadrunnerとの追いかけっこの末、崖から落ちる展開になることが多い。