Fire And Ice
Elektra, 1992



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最も売れたアルバムのうちの1枚であろう
曲数も半端じゃない多さだが、名曲目白押しである。いったい全体、彼がこんな極致のレベルに到達してしまった究極の原因って、やはり当時の個人的幸福絶頂度が関係しているのであろうか?
かのマイケルシェンカーは精神的にぎりぎりに追い詰められると名曲が生まれたが、Yngwieの場合、幸福の絶頂でも同じ現象が顕現するようである。これは全く、当時インタビューで本人が豪語していた、名曲が頭の中からあふれ出て止まらない状態がなせる技だったのである。

さてこの中でも、何がすごいって、それはクラッシック3部作に代表される楽曲の新鮮味と充実度である。How Many Miles to Babylonの厳かかつ正調Yngwie節な響き、Cry No Moreの正当北欧泣きメロ攻撃、そして締めは No Mercyに具現化された、Yngwieミディアムハードテンポバラードとバロックの完全なる融合、この3曲には今までの流れの延長上でありながら、全てに挑戦的かつ斬新なアイデアと発明が織り込まれ、燦然と輝く芸術作品のごとく並べられている。美術館で順路を追って進むうちに、突然目の当たりにする壁いっぱいの大作の絵が3枚並んで展示された巨大ホールに、偶然出くわしたようなイメージである。3部作、それは聴く者のの魂揺のゆさぶり度が、今までのアルバムと比べても半端でない。そして3部作の余韻に酔いしれるリスナーをやさしく誘い、勢いで連れ込む、次の名曲C'est La Vie、この曲こそ、今までには全くなかった不思議なハーモニーとメロディラインでありながらどこから聴いてもYngwieそのものであるという、逸品。ギターとシタールの綾なすオリエンタルな音色とヨランの得も言われぬ北欧叙情の泣きの歌声の不思議な調和に、もはや涙すら枯れてしまうほどである。さて、肝心のアルバムタイトル曲Fire & Iceは、意外なほどアルバム内では地味な印象であるが、ギターソロの超絶技巧にYngwieおしてタイトルチューンに選ばせた深い思い入れを察する事が出来る。特に、ソロ中盤の上り詰めた後の泣きには、今までの泣きを一歩越えた、大いなる自信すら感じてしまう。

そうそう、ツアーのときオープニングがPerpetualだった時の感動と戦慄が、今でもあまりに記憶の鮮明である。暗闇からステージ中央に光とともに現れる王者の勇姿を思い浮かべると、今でもどきどきして、私の心を熱くする。
アルバム1曲目=オープニングはセオリーとはいえ、インストだっただけに、意外性があって、98年に導入した、オープニングスペシャルオリジナルインストへと続く道だった様な気さえする。

Yngwie、このアルバムは日本で売れに売れたけど、エレクトラがアメリカでまじめに売ろうとしなかったのは本当に残念だったね、でも間違いなく、Trilogyに続く最高傑作のうちの一つだよ、と最後につけ加えて置くね。


By Yoko



data


1. Perpetual
2. Dragonfly
3. Ceaser
4. How Many Miles To Babylon
5. Cry No More
6. No Mercy
7. C'est La Vie
8. Leviathan
9. Fire And Ice
10. Foever Is A long Time
11. I'm My Own Enemy
12. All I Want Is Everything
13. Golden Dawn
14. Final Curtain
15. Broken Glass

Fire & Ice, Elektra , 1992

Produced by Yngwie J. Malmsteen. Published by Pazuzu Enterprises

Ltd/Unichappel Music, Inc.

Recorded at Criteria Studios, Miami, and Polar Studios, Stockholm. Mixed at

Electric Lady Studios, New York [originally built by Jimi Hendrix].

Yngwie J. Malmsteen: All electric and acoustic guitars, sitar, Taurus Bass Pedals,

and backing vocals.

Goran Edman: Vocals.

Mats Olausson: Keyboards.

Svante Henryson: Elecric bass, contra bass, and cello.

Bo Werner: Drums and backing vocals.

String section arranged by Yngwie J. Malmsteen, assisted by Svante Henryson.

Special appearance by Lolo Lannerback on flute. Drums on "Leviathan" by

Michael Von Knorring.

Japanese release of the album contains a bonus track, "Broken Glass."

Photography by James Porto, Michael Johansson. Art direction by Larry

Freemantle.

This album is dedicated in loving memory to Bjorn Malmsteen.

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